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センサでまともなデータを取りたい! SN比(S/N比)を上げる基本のキ

物理・数学・技術
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こんな人に読んでもらいたい記事です

・実験でまっとうなデータを取るには?

・SN比ってなに?

・センサで測りたいものをきちんと測れるようにするためにはどうすればよい?

という人

結論

・「狙った現象(信号)がきちんと測れているか?」を表す指標を「SN比(えすえぬひ)」と言います.

・普段の業務の経験から
SN比を上げるためにハードウエア面で気にすることを整理します.

・細かいことを言えばもっといろいろありますが,
とりあえず基本の「キ」のご紹介です.

「狙った現象がきちんと測れているか?」を表す指標:SN比(えすえぬひ)

こんにちはりゅういえんじにあです.

業務をしていると実験装置にセンサを取り付け,データを集めることがあります.

しかし「センサをおいてスイッチを押したらOK」というわけではなく,
「きちんと測りたいものが測れているか」を気にしなくてはなりません.

具体的にいうと
「測りたい現象(シグナル)がその他の現象(ノイズ)にかき消されていないか?」
を気にします.

その度合を表すものとしてSN比(S/N比)などといい,
この度合いが高いと「測りたいものがはっきり見える状態」を表し,
反対に低いと「ノイズが多くて測りたいものがはっきり見えにくい」状態を表します.

今回はハードウエア的な視点でこのSN比(S/N比)を
上げるにはどうしたら良いのか?

というところを整理しました.

SN比を上げるにはどうする?

SN比はその名の通り「SとNの比=S/N」で考えるので,
「狙った現象を示す信号(シグナル)を大きくし,その他の現象(ノイズ)を小さくする」
ことで大きくできます.

SN比は2つの場面に分けて考える必要があると考えています.

それぞれの場面でSN比を上げるにはどんなところに注意すべきか示します.

で,2つの場面とは
(1)物理現象をセンサで電気信号に変換するとき
(2)電気信号を記録装置に送るとき
です.

IoTデバイスに載っているセンサの場合は内部で処理を完結させる場合もあるので
(2)はこちらから手を出せない場合もあるので注意です.

(事実上(1)で頑張るしかない,ということになります.)

2つの場面でSN比を上げる基本の「キ」

ここからは,上記で紹介した2つの場面でSN比を上げる考え方を紹介します.

「お鍋に入ったお湯の温度を測る」ことを考えることにします.

(1)物理現象をセンサで電気信号に変換するとき

結構忘れがちですが,温度とか振動とかの物理現象を直接データとして記録することはできません.

物理現象によって変化する物質の電気的な性質を利用します.

変化した電気的な性質を電気信号を介して記録します.

つまりセンサに使われている物質がうまく目的の物理現象を感知して,
電気信号を変えてやるように仕向けてやる必要があります.

(1.1)Sを上げる

例えば測りたい現象が起こっている場所の近くにセンサを設置しましょう.

直感的にわかることかもしれませんが,お湯の正しい温度を測るには
お湯に温度計を着けたほうが良いですよね.

お鍋の近くの温度を測ってもほんのり温かくなっているかもしれませんが,
お湯そのものの温度を測れているわけではありません.

Sを上げる一番手っ取り早い方法は,物理現象の直ぐ側で測ることです.

(1.2)Nを下げる

(1.1)とは逆に測りたい現象以外のものがあまり起こっていない場所にセンサを設置しましょう.

物理現象(測りたいもの)とセンサの位置関係だけではなく,
その計測を妨げるもの(ノイズ)との位置関係も考える必要があります.

お鍋のお湯の温度を測りたいのに,
ストーブの温風が当たる場所にセンサをおいたら
お湯そのものの正しい温度は測れません.

少なからずストーブから出る熱(ノイズ)の影響を受けてしまうためです.

(普通そんなところで温度なんて測らないでしょうが)

Nを下げる手っ取り早い方法はノイズとセンサの距離を離すことになります.

(2)電気信号を記録装置に送るとき

センサを介して物理現象が電気信号になりました.

それをADコンバータなどの装置を通して
コンピュータ(データロガー)に0/1のデータにします.

例えば「測ったお湯の温度を声で伝言する」ことを考えます.

(2.1)Sを上げる

信号を強く(大きく)しよう.

物理現象を電気信号に変えてくれるセンサですが,
それ単体では信号が弱い(電圧が小さい)ので,
そのままではノイズにかき消されてわからなくなります.

この場合のノイズとは突発的な静電気や電磁波などによる電圧の変化などを指します.

周りのノイズに負けないように信号を強く(大きく)して上げる必要があるわけです.

(増幅といったりします)

ひそひそ声で伝えても聞こえにくいので,
大声で伝えたほうが温度の情報は伝わりやすいですよね.

このとき使う装置のことをアンプと言ったりすることがあります.

「アンプ」と言われたら「信号を大きくしているんだな」と思ってください.

(2.2)Nを下げる

ノイズがない環境で情報を伝えましょう.

電気的なノイズは目には見えませんが,対策が必要です.

せっかく(1)でSN比の良い場所で計測できても,ここでノイズが入ってしまうと
センサが測った値が正しく記録されずのデータが台無しです.

がやがやしている部屋で叫んでも聞こえにくいので,
できるだけ静かな場所で伝える,というような感じです.

実際の対策は以下のような感じです.

例えばロボットで使うセンサを考えます.

モータなどで大電流が流れるところから離して電磁波の影響が出ないようにしましょう.

センサの情報が流れる線(信号線,などと言ったりします)シールド線を使っても良いでしょう.

電気信号は電圧で扱われることが多いので,電圧の基準電位(GND)を安定させることも
Nを下げることに貢献します.

おわりに

今回センサで現象を計測するときに考慮すべき,センサ設置に関する基本の「キ」を紹介しました.

センサの使い方の基本を抑えて,「まともな」データが取れるようになると良いですね.

ありがとうございました.

 

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