こんな人に読んでもらいたい記事です.
・「力学的エネルギー」とか「運動量・力積」が
似ているようでよくわからん!
・「力学的エネルギー保存則」とか「運動量保存則」が使えるのっていつ?
という人
結論
よく見るニュートンの運動方程式
\begin{align}
m\frac{d^2x}{dt^2} &= F \tag{2.1} \\
\end{align}
から「力学的エネルギー」と「運動量・力積」を整理します.
変形の過程をみることで,高校物理で習う「力学的エネルギー保存則」とか
「運動量保存則」を使うときの条件を確認します.
力学的エネルギー:力Fが定数か位置の関数で表されるとき(保存力)に使う
→「変化前,変化後の瞬間しか気にしない」考え方
運動量・力積:時間tが運動量変化に影響する
→「時々刻々と変わるFとその時間の積み重ねが運動量になる」考え方
「力学的エネルギー」と「運動量・力積」どっちで考える?どっちを使う?
こんにちはりゅういえんじにあです.
業務で力学的な考察をすることがありました.
毎回「力学的エネルギー」の議論なのか
「運動量・力積」の議論なのか
わからないことが多くなりますので,
備忘録として整理しました.
ざっくり表すことを目的にしていますので,
正確な表現は他の専門サイト・文献に譲ります.
力学的エネルギー
まずは力学的エネルギーについて考えます.
運動方程式
\begin{align}
m\frac{d^2x}{dt^2} &= F \tag{2.1} \\
\end{align}
を変形します.
(2.1)の両辺に速度
\begin{align}
\frac{dx}{dt}=v
\end{align}
をかけて変形します.
\begin{align}
mv\frac{dv}{dt} & = Fv\\
mv dv & = Fv dt\\
mv dv & = F dx \tag{2.2} \\
\end{align}
(2.2)を\(t_0\)→\(t\)で積分します.
・\(t_0\)のとき\(x_0,v_0\)
・\(t\)のとき\(x,v\)
\begin{align}
\frac{1}{2}m\left[v^2\right]_{t_0}^t & = & \int_{x_0}^x F dx\tag{2.3}\\
\frac{1}{2}mv^2-\frac{1}{2}mv_0^2 & = & F(x-x_0)\tag{2.4}
\end{align}
式(2.4)はよく見かける式になりますね.
式は何を言っている?
求めた式(2.4)は結局何を言っているのでしょうか?.
まず右辺は力と位置の積を積分しています.
力と距離の積は「物体がなされた仕事」を表すので,
右辺は「物体がなされた仕事の総和」を表すことになります.
この「物体がなされた仕事の総和」を「位置エネルギー」だったり,
「ポテンシャルエネルギー」と言ったりします.
一方左辺の各項はそれぞれの速度で動いているときの
いわゆる「運動エネルギー」と呼ばれる値です.
速度\(v\)のときの運動エネルギーと速度\(v_0\)のときの運動エネルギー
の差を計算していることから,左辺は「運動エネルギーの変化量」を表すことになります.
したがって,
「運動エネルギーが減った分が位置エネルギーに蓄えられる」または
「力学的エネルギーは保存される」などと表現できることになります.
しかし,ここで注意です.
式(2.3)のようによくみる力学的エネルギーの式を使うときには,
Fが時間に依存しない値(定数または位置で決まる関数)である必要があります.
仮にFが時間に依存する関数であったならば,右辺の示す値が時間によって変わってしまう
ということなので,保存則もへったくれもなくなってしまいます.
どんな条件で力学的エネルギーが保存されるのかは確認しておきましょう.
運動量・力積
つぎに運動量・力積について考えます.
同様に運動方程式
\begin{align}
m\frac{d^2x}{dt^2} &= F \tag{3.1} \\
\end{align}
を変形します.
(3.1)を\(t_0\)→\(t\)で積分します.
・\(t_0\)のとき\(v_0\)
・\(t\)のとき\(v\)
\begin{align}
m\left[\frac{dx}{dt}\right]_{t_0}^t & = & \int_{t_0}^t F dt\tag{3.2}\\
m(v-v_0) & = & F(t-t_0) \tag{3.3}
\end{align}
式は何を言っている?
求めた式(3.2)は結局何を言っているのでしょうか?
まずこの式の左辺は質量と速度の積で「運動量」と呼ばれる値です.
速度\(v\)のときの運動量と速度\(v_0\)のときの運動量
の差を計算していることから,「運動量の変化量」を表します.
一方右辺は「力積」を表します.
「時刻\(t_0\)から\(t\)まで力Fを与えた結果,
速度が\(v\)のときの運動量と速度\(v_0\)変化した」
と読むことができます.
ややこしいときは\(t_0\)を0にして考えても良いかもしれませんね.
「力の大きさまたは力の発生する時間が長い→運動量が増える」
物体Aと物体Bの衝突を考えると
「作用反作用の法則」で(3.2)の右辺を介して
「物体Aの運動量の変化」=「物体Bの運動量の変化」となる.
おわりに
今回,自分が混乱しがちな
「力学的エネルギー」と「運動量・力積」を
運動方程式から整理してみました.
備忘録として残しておきます.
参考になる方が少しでもいれば幸いです.
コメント