記事内に広告が含まれています

【料理】【冷凍保存】【技術者視点で考えた素早く美味しい肉魚解凍テクニック】

技術者目線の小話
スポンサーリンク
  • 広告を含む場合があります

こんな人に読んでもらいたい記事です

・安いときにお肉魚を買いだめして冷凍保存している人
・素早くしかも美味しくお肉や魚を解凍したい人

結論

・お肉やお魚のパッケージを軽く濡らして,その上から金属でできたキッチンの道具をあてよう
→アルミニウム製の食品バットなどがあったら最強!

はじめに

こんにちは,りゅういえんじにあです.
皆様お肉はお好きですか?私も好きです.

よくスーパーで安売りしているときにステーキ肉を購入し冷凍しておいて,
食べたいときに自宅のキッチンで焼いて食べています.

お肉は常温に戻してから焼くと表面の焼きすぎを防止できて美味しくできるので,
常温に戻してから焼くのですが,そこでいつも時間がかかるのが「お肉の解凍」です.

すぐに解凍して食べたいと思ったときじれったいと感じることがしばしば.そこで検索してみると素早く解凍する方法として主に以下の方法がヒットしました.

(1)電子レンジで加熱  :解凍ムラ,加熱ムラが発生のおそれ
(2)流水        :水を流し続けないといけない,解凍の間流しを占拠する
(3)金属(フライパン)などをあてる:ぐらつかないように注意

お肉が美味しくなくなってしまうおそれがあるので(1)は論外.
あとは(2)または(3)の比較になるわけですが,技術者視点で肉を素早く常温に戻したいと考えたとき,もっと効率の良い方法があるのでは?と考え手法を検討してみましたのでご紹介します.

目標:効率よく熱を伝えよう

さて今回の目標は「冷凍したお肉を素早く常温に戻す」ということですが,
そのためには外部の熱をお肉に伝える必要があります.

これは技術的な目標としては「冷凍したお肉に素早く空気中の熱を伝える」
と読み替えることができます.
※お肉はラップやジップロックなどで覆われている状態とします

技術的視点でみると…

ここで検討する前提として以下を挙げました.
・熱はお肉に触れている物質を介して伝わる
→お肉に触れている物質を工夫して「外部の熱をうまくお肉に伝える」ことを考える

キッチンにありそうなものでお肉に触れさせる物質の候補を選びました.
・空気
・水
・ステンレス(フライパン)
・アルミ(食品バット)

今回はこれらの素材の熱の伝えやすさを表す物性値(物質の性質を表す値)である「熱伝導率」を調査しました.

空気を基準にすると以下のように素材によって熱の伝わりやすさは大きく異なることがわかります.
-水:約23倍
-ステンレス(フライパン):約612倍
-アルミニウム(食品バット):約9066倍

お肉にふれる素材の性質だけをみると熱の伝わりやすさは
「空気 < 水 < アルミなどの金属」
であることがわかります.

「じゃあ(3)金属にあてるが最適だね!」となりそうですが,実は金属にには水にはない大きなデメリットがあります.
それは「固体である故にお肉と密着できない」ということです.

先にも述べた通り「熱はお肉に触れている物質を介して伝わる」ので,細かい凹凸があるお肉表面に金属を当てても,完全に密着しておらず,金属とお肉の間に空気が挟まっている箇所が生じてしまうということになります.
これではせっかく熱が伝わりやすい金属を選んでも効果が半減してしまいます.

 

一方(2)流水に当てる場合は「水は液体であるがゆえにお肉の表面の凹凸に関係なく密着できる」というメリットがあります.
そのような理由から(2)流水で解凍するのが推奨される場合も多いのだと思います.

ただし流水にはその間流しを占拠されてしまうという大きなデメリットもあったので,それを避けたいがためにいろいろ考えました.

その結果たどり着いたのが
「金属とお肉の間に空気が入ってしまうのが嫌なら水を挟めば良いじゃない!」
という発想です.
ざっくりいうと「(2)流水」および「(3)金属をあてる」のハイブリッド作戦です.
金属からきた熱を水(空気よりは熱を伝えやすい)を介してお肉に伝える,ということです.

具体的なやり方は
・お肉に水を軽くかける(水玉がつくくらい)
・お水がついたままフライパンなどの金属をのせる
(水を接着剤にみたてて金属とお肉を密着させるイメージ)
→基本的に金属は何でも良いが,アルミニウムでできたものがあればそれを使おう
(金属の中で熱を伝えやすい素材の一つです,実際様々な機械にも熱を逃がす用途で使われます)
・終了

これによって流しを占拠されずになおかつ,解凍のスピードを早めることができました.

おまけ(ボツ案)

実は上記の方法をご提案する前に
「お肉を金属製のお鍋に貼った水(流水ではない)につける」というやり方をためしました.

これも「金属からきた熱を水(空気よりは熱を伝えやすい)を介してお肉に伝える,ということです.」というやり方ですが,上記の方法ほどうまく解凍が進まなかったです.

理由として考えられるのは水の厚みです.
実は熱の伝わりやすさは物質の物性値(物質ごとに一定の値)の他に厚さの要素が効いて来ます.このやり方では熱を伝えやすい金属にくらべて水の厚さが大きくなってしまったので外部の熱がお肉に伝わりにくくなってしまったものと考えられます.

できるだけ水の厚みは薄いほうが良いので上記のやり方がベターと思います.

おわりに

今回熱の伝わりやすさを表す物性値である「熱伝導率」をもとに
お肉を素早く解凍するにはどうするのが効率よいかということを考えました.

もしよろしければ参考にしてみてください.
ありがとうございました.

ちなみに,冷凍食品なんかは電子レンジで加熱調理しますが,
そのときの加熱時間の目安はどんな電子レンジでの比較的簡単に計算できます.


所詮家庭のお料理で使う小技なので,細かい計算などはとことん省きざっくり説明しましたが,もし万が一この分野に興味があれば「熱伝導率」というキーワードで検索してみてください.

[参考]
それぞれの物質の熱伝導率(ややこしいので無視してOK)
空気@300K λ=26.14mW/(m・K)
水@300K  λ=610.4mW/(m・K)
ステンレス λ=16000mW/(m・K)
アルミ   λ=237000mW/(m・K)

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました