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結局「誤差」ってなんだ?~計測編~

物理・数学・技術
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こんな人に読んでもらいたい記事です

・実験をしていて「誤差」の少ないデータを出したい!

という人

結論

実験で思った通りの結果が出ないとき何も考えずに「誤差」と言ってしまうことがありますが,
その誤差はどういったものによって生じたものかを把握しておく必要があります.

計測で「誤差」につながるものを挙げてみました.

(1)環境誤差
(2)ヒステリシス誤差
(3)機器の個体による誤差
(4)個人誤差
(5)偶然誤差

実験・計測に「誤差」はつきものだができるだけ小さくしたい

こんにちはりゅういえんじにあでです.

会社や研究室で実験や計測をすると本来計測したいもの以外に
計測されてしまう「誤差」がどうしてもついてきます.

しかし,実験の目的を考えるとこうした誤差はできるだけ小さくしたいものです.

そこで今回は実験でより正しい(実体を表す)データをとる方法として,
主な「誤差」の原因を整理してみました.

実験系を考えるときの参考になればと思います.

計測で出てくる「誤差」の原因

(1)環境誤差

このようにセンサの設置場所の環境の違いに伴い生じうる誤差のことです.

そもそもセンサは計測したい物理現象を電気信号に変換するもの,として考えることができます.

物質の性質に応じて電気信号を発生させるわけですが,その物質の性質は
設置場所の温度や湿度,気圧で変化する可能性があります.

もちろん,信頼性が確保できる推奨環境はセンサの仕様書に記載があり
その範囲内であればまっとうなデータを計測できる,ということになるわけですが,
厳密にいえば同一の計測値にはならないので,厳密にいえば計測環境はそろえる必要があります.

(推奨環境の範囲内であったとしてもです)

例えば設備から発生する音を計測したいときにうるさい場所で測るより,
静かな場所で測った方が設備本来の音が正確に計測できるわけです.

(2)入力と出力が一対一対応しない誤差

センサ・計測器は入力値(測りたいもの)と出力地(測った結果)が一対一対応している必要があります.

例えば身長が158cmと163cmの人がいるのに測ったら両方とも「165cm」で表示されたらけんかになりますよね?笑

身長が158cmならば「158cm」と,163cmならば「163cm」と表示される必要がありますよね.

この誤差の例は以下のようなものがあります.

・ヒステリシス性

入力値がどのような履歴で入力されたかによって出力される値が変わりうる,という性質のことです.

例えばある物質を加熱していって「50℃」になったとします.
このときセンサでは「50℃」と表示されます.

そのまま加熱して80℃になったとき加熱をやめて50℃以下まで冷やすことにしました.

冷やしている途中で物質が50℃になるタイミングがあるはずですが,
ヒステリシス性をもつ計測器だと「48℃」表示になってしまったりするのです.

温めているときは「50℃のとき50℃表示できる」が
冷やしているときは「50℃のときでも48℃表示になっちゃう」ということです.

・飽和

入力がある一定の値を超えると出力の変動がなくなることです.

「サチる」などと言ったりします.

・バックラッシ

(3)機器の個体による誤差

「製造上やむを得ない不完全さ,ずれ」や「使用中の摩耗や経年劣化」によって生じるものです.

計測器のメーカもできるだけこのずれが生じないように生産するわけですが,どうしても生じてしまいます.

加速度を計測するセンサ(加速度ピックアップ)だったり温度を計測するセンサ(熱電対),
材料にはたらく応力を計測するセンサ(ひずみゲージ)には「校正表」がついているので,
それをもとに実際の計測値を計算する必要があります.

また実験をしたときの報告書には計測器の型番だけではなく,
シリアルナンバーも記録しておくよう指導されたことがあるかもしれません.

これは同じ計測器で計測することで機器の個体差による影響をなくすためです.

(4)個人誤差

測定者固有の癖,不慣れさによって生じてしまう誤差です

この誤差をなくすためには,
「そもそも人が介在する作業を極力減らす(自動化)」
「必ず同じ人が作業する(固定化)」
「特定の技能を持つと認められた人しか実験操作をしない(資格化)」
など「人のばらつきをなくす」ように手当をしてやることが必要です.

(5)偶然誤差

上記(1)~(4)の誤差を考慮して計測しても
(同一の計測器,方法,十分な注意のもと計測しても)
生じてしまう誤差のことです.

基本的な性質としては以下のようなものです.
「仮想的に無限の計測値の集まり(母集団といいます)の度数分布(ヒストグラム)を考えると正規分布曲線になる」
・同じ大きさ(絶対値)の正および負の誤差は同じ確率で生じる
・値の小さい誤差は値の大きい誤差よりも頻繁に生じる
・ある一定の以上の誤差は生じない

上記の性質を踏まえりゅういえんじにあは

「ヒストグラムをみたとき正規分布になっていないならば,
誤差は偶然によるものではなく,他の要因によって生じている可能性がある」

と判断するようにしています.

そんな場合は実験系の確認,再実験を行うようにします.

おわりに

実験をしていると思い通りの結果にならないことが多いわけですが,
それを単なる「誤差」として処理してしまうことのないように,
誤差の原因を整理してみました.

実験の手順・方法を考える参考になれば幸いです.

ありがとうございました.

 

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