こんな人に読んでもらいたい記事です
・「電位が浮く,GNDが浮く」ってどういう意味?
・GNDが浮くとどうなる?
という人
結論
・「GNDが浮く」とは
電圧を計測する基準になるポイントの電位がGND(=0V)からずれること
・GNDが浮くと
①回路が正常に動作しない
②素子・回路が壊れる
回路のトラブル時は真っ先に「GNDの浮き」を確認する
こんにちは,りゅういえんじにあです.
新規製品開発を行っていたとき,基板の試作・バラック組みで
回路の動作確認をしていました.
センサなどがきちんと動かないことが多々あるのですが,
まず真っ先にGNDとの接続を確認します.
「GNDが浮いていないか」を確認するためです.
「電気的に浮く」とも言ったりします.
今回は「GNDが浮く」ことで何があるのか,ということを紹介します.
実務に入る前にやっぱり本などで基本的な回路の理屈は抑えておいたほうがいいですね.↓
「GND(グランド)が浮く」「電位が浮く」とは基準の電位がずれること
まず「GNDが浮く」とは
『電圧を計測する基準になるポイントの電位がGND(=0V)からずれること』
です.
具体的には電気・電子回路とGND(基準電位)の接続が途切れてしまっていることを指します.
電気回路が「電圧の基準はどこ?→何ボルトって判断すればいいの?」
とわからなくなっちゃう状態ですね.
「GND(グランド)が浮く」とどうなる?
先にも示しましたが「GNDが浮く」とは
『電圧を計測する基準になるポイントの電位がGND(=0V)からずれること』
です.
それが起こるとどんなことが起こる?ということを示します.
(1)回路が正常に動作しない
電子回路を構成するセンサの中にはは
電圧の大きさで周囲の状況をデータ化するものがあります.
またスマートフォンなどの動作を司るICは,
電圧が基準点より「高い」または「低い」で
信号のHighまたはLowを判断しています.
ここでそもそもですが電圧は「計測する部分の電位と基準電位の差」を示します.
(高校物理のお話)
基準がずれると当然電圧の値もずれます.
すると正しく電圧が測れないことになり,
それが回路の正常な動作に悪影響を与えることになるのです.
例えばロータリエンコーダも出力される電圧の「高い」または「低い」を
読み取りカウントしていきます.
もしここでもGNDが浮いてしまうと,誤作動(角度の計測誤差)に繋がります.
(2)素子・回路が壊れる
(1)では回路が誤作動するだけで,きちんと部品とGNDの接続を直せば
再度正常に動作する可能性が残っています.
(当然ホントはよくない)
しかし場合によっては素子,回路が壊れてしまい使い物にならない場合があります.
電子回路を構成するそれぞれの部品には,
各端子が耐えることができる電圧が決まっています.
それを越えてしまうと壊れます.
これを「絶縁破壊」(ぜつえんはかい)と言います.
具体的に説明しますとGNDが浮いているということは,電気的な見方をすると
「回路とGNDが非常に大きなインピーダンス(≒抵抗R 1000MΩ以上)で接続されている状態」
と捉えることができます.
ここでオームの法則 V = RI より
ほんの少しの電流(例えば静電気)でも端子に流れると大きな電圧が発生し
IC内部の絶縁破壊が起こり(=ICが壊れる),その素子は使い物にならなくなるのです.
「電子部品を扱うときに静電マットを使いましょう!」とか言われるのは,
こういった微弱な電流でも,大きなインピーダンスで大きな電圧が発生するのを防ぐためなのです.
実際にやってみたらわかるのですが,意外と簡単に壊れます.
テスト用基盤をチェックしていたとき,何気なくGNDが浮いた状態で触ってしまい,
さっきまで動いていた基板が動かないなんてことがけっこうありました笑
終わりに
今回何気なく使ってしまう「GND(グランド)が浮く」の意味と,
その影響について紹介しました.
ありがとうございました.